小倉慎司税理士事務所

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やさしい税務会計ニュース

文書作成日:2024/07/30
新幹線通勤の場合の非課税とされる通勤手当の範囲

[相談]

 このたび当社では、片道すべての通勤時間合算で在来線を利用した場合の通勤時間が90分以上となる従業員全員を対象に新幹線通勤を認め、1月当たり10万円を上限として新幹線通勤手当を支給することを検討しています。
 そこでお聞きしたいのですが、所得税法上の非課税通勤手当の規定は、上記の新幹線通勤手当にも適用されるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 所得税法上の非課税通勤手当の対象には新幹線料金(グリーン料金等は除きます)も含まれていますので、通勤に新幹線を使用することが最も経済的かつ合理的な方法であり、かつ、その手当の金額が1月当たり15万円以内であれば、ご相談の新幹線通勤手当についても所得税は非課税になるものと考えられます。

[解説]

1.所得税法上の非課税通勤手当の概要

 所得税法上、給与所得者で通勤する人(通勤者)がその通勤に必要な交通機関(電車、バスなど)の利用又は交通用具(自動車、自転車など)の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分のうち一定のものについては、所得税を課さない(非課税)と定められています。

2.非課税通勤手当の詳細

 上記1.の所得税が非課税となる通勤手当の詳細は、下記のとおり定められています。

  • @通勤のため交通機関又は有料の道路を利用し、かつ、その運賃等を負担することを常例とする人(下記Cに該当する人を除きます)が受ける通勤手当
    …その人の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額(1月当たりの金額が15万円を超えるときは、1月当たり15万円)
  • A通勤のため自動車その他の交通用具を使用することを常例とする人(その通勤の距離が片道2q未満である人及び下記Cに該当する人を除きます)が受ける通勤手当
    …片道の通勤距離に応じて定められている金額
  • B通勤のため交通機関を利用することを常例とする人(上記@の通勤手当の支給を受ける人及び下記Cに該当する人を除きます)が受ける通勤用定期乗車券
    …その人の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による定期乗車券の価額(1月当たりの金額が15万円を超えるときは、1月当たり15万円)
  • C通勤のため交通機関又は有料の道路を利用するほか、併せて自動車その他の交通用具を使用することを常例とする人(その交通用具を使用する距離が片道2q未満である人を除きます)が受ける通勤手当又は通勤用定期乗車券
    …その人の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額又は定期乗車券の価額とその交通用具を使用する距離につき上記Aの表に定める金額との合計額(1月当たりの金額が15万円を超えるときは、1月当たり15万円)
3.新幹線を通勤のために利用する場合の取扱い

 所得税法上、上記2.の「その人の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」には、新幹線を利用した場合の運賃等の額も含まれるものとされています。

 したがって、今回のご相談の新幹線利用を前提として従業員に支給する通勤手当については、新幹線運賃と、新幹線特急料金の額も含めた全額(ただし、1月当たり15万円が上限)が所得税非課税となります。

 ただし、上記には新幹線特別車両料金(グリーン料金、グランクラス料金など)は含まれず、また、特定の役員や従業員のみを対象として新幹線通勤を認めるという場合には、新幹線料金部分は通常の通勤の経路及び方法による運賃の額に該当しない(金額のいかんにかかわらず源泉所得税の課税対象)こととされていますので、くれぐれもご注意ください。

[参考]
所法9、所令20、所基通9-6の3、国税庁質疑応答事例など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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