小倉慎司税理士事務所

会話形式で学ぶ財務基礎講座

今月のお仕事カレンダー

経理・総務書式集

やさしい税務会計ニュース

文書作成日:2026/01/20
年度の途中で従業員から役員に昇格した人に支給する給与と法人税

[相談]

 当社(7月決算)の従業員Aは、このたび、臨時株主総会の決議により、12月1日から新たに取締役に就任し、同日から取締役としての職務を執行することとなりました。
 このため、当社とAとの雇用契約は11月30日をもって終了することとなり、11月分まではAには従業員としての給与を支給し、取締役就任後のAの給与については、その職制上の地位の変更の伴う職務内容等の変更内容を総合的に勘案し、従前の従業員給与に一定額を増額した役員給与を12月分から支給する予定です。
 また、Aに支給する役員給与については、今年度末までは同額を支給する予定です。
 この場合、Aに対する@役員就任前に支給された従業員としての給与、A役員就任後に支給される役員給与、それぞれの支給額は、いずれも法人税法上の損金の額に算入されると考えてよろしいでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談のA氏に対する@役員就任前の従業員としての給与、A役員就任後の役員給与それぞれの支給額は、どちらも損金の額に算入できるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.法人税法上の役員給与の、基本的な考え方

 法人税法上、法人が役員に対して支給する給与(退職給与等を除きます)で、「定期同額給与」(支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものをいいます)等に該当しないものについては、その法人の損金(会社の経費)の額には算入できないことと定められています。

 また、役員給与の改定(決定)は、原則として、その事業年度開始の日から3ヶ月以内にされたものでなければならないと定められています。

 したがって、役員給与を法人税法上の損金の額に算入するためには、原則的には、役員に対して毎月一定の時期に同じ金額を支給し、その額の改定(決定)は、事業年度の開始の日から3ヶ月以内に行うことが必要となります。

2.「臨時改定事由」に該当した場合の取扱い

 上記1.の原則的な改定(決定)以外にも、会社の経営状況が著しく悪化したこと等の理由(業績悪化改定事由)に該当したために事業年度途中で役員給与を減額改定した場合や、役員の職制上の地位の変更・役員の職務内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)に該当した場合には、その改定前の各支給時期における支給額と、改定後の各支給時期における役員給与の支給額がそれぞれ同額であれば、改定前・改定後それぞれの役員給与支給額は上記1.の定期同額給与として損金の額に算入することができることとされています。

 さて、今回のご相談の場合、事業年度の中途で従業員A氏が新たに取締役(役員)に就任することに伴い、その給与が改定(増額)されるとのことですが、これは上記の「臨時改定事由」に該当するものと考えられます。

 したがって、A氏に対する@役員就任前の従業員としての給与、A役員就任後の役員給与の支給額は、それぞれ、@については役員就任前の従業員としての給与であることから上記1.の規定の適用はなく損金の額に算入することができ、Aについては役員就任後に最初に支給される役員給与の支給額と年度末までの各支給時期における支給額が同額であれば、こちらも損金の額に算入できるものと考えられます。

[参考]
法法34、法令69、法基通9-2-12の3、9-2-13、国税庁「役員給与に関するQ&A」など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。



外国人従業員がまとめて送金している場合の扶養控除の適用について2026/01/13
外国人従業員が扶養控除の適用を受けるための手続き2026/01/06
賃借物件のオーナーが非居住者に変更となった際に借主に発生する源泉徴収義務とは2025/12/30
デビットカード取引における印紙税の取扱い2025/12/23
夫婦双方で配偶者特別控除の適用を受けることはできるのか2025/12/16
クレジット販売の領収書で、印紙を貼付しなくてもよい場合とは2025/12/09
改正で年末調整の再計算が必要となる海外出国者とは2025/12/02
特定扶養親族に対する扶養控除と特定親族特別控除との併用可否2025/11/25
相続人が相続放棄した場合における相続税の基礎控除額2025/11/18
国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供に「少額特例」を適用できるか2025/11/11
令和8年分の扶養控除等申告書から新登場する「源泉控除対象親族」とは2025/11/04
所得税の非課税額を超えて支給される通勤手当の消費税法上の取扱い2025/10/28
早生まれの大学生と特定親族特別控除2025/10/21
スキマバイトの源泉徴収票に記載された「丙欄適用」の意味2025/10/14
令和7年10月1日から新設される「教育訓練休暇給付金」と所得税2025/10/07
令和7年分年末調整の対象となる人ならない人2025/09/30
令和7年度税制改正による所得税法上の配偶者特別控除の影響2025/09/23
大阪・関西万博への物品提供費用にかかる法人税法上の取扱い2025/09/16
令和7年度税制改正後の所得税および個人住民税の非課税ライン2025/09/09
令和7年分以後の所得税法上の扶養親族の所得要件の見直し内容2025/09/02
令和7年分以後の所得税法上の同一生計配偶者の所得要件の見直し内容2025/08/26
免税事業者から課税仕入れを行った場合の経過措置(80%税額控除)の適用期限2025/08/19
インボイスの保存が不要となる「少額特例」の適用対象期間2025/08/12
特定親族特別控除とは2025/08/05
令和7年分からの給与所得控除額の改正と個人住民税2025/07/29
令和7年分所得税からの給与所得控除額の改正内容2025/07/22
ページのトップへ