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やさしい税務会計ニュース

文書作成日:2024/06/11
給与年収が2,000万円を超えていても定額減税が受けられる場合

[相談]

 私の令和6年の給与年収は、2,015万円の見込みです。
 また、私には年齢23歳未満の扶養親族がいることから、令和6年分所得税の確定申告で所得金額調整控除の適用を受ける予定です。
 さて、今年(令和6年)実施される所得税の定額減税は、給与年収が2,000万円を超える人についてはその対象外とされているそうですが、私のように所得金額調整控除の適用を受ける人についてはどのような取扱いとなるのでしょうか。教えてください。
 なお、私には給与所得以外の所得はありません。

[回答]

 ご相談の場合、所得金額調整控除の適用を受けられることを前提とすれば、ご相談者の令和6年分の合計所得金額は1,805万円となることから、所得税の定額減税の適用を受けられるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.令和6年に実施される所得税の定額減税の概要

 令和6年分の所得税については、定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されます。

 具体的には、居住者(※1)の所得税額から、原則として、下記の特別控除の額を控除するとされています。

  • @本人:3万円
  • A同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に該当する人に限ります):1人につき3万円

※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

2.所得税の定額減税における所得制限の概要

 上記1.の所得税の定額減税は、その居住者の令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円を超える場合については、適用がありません(減税が行われません)。

 この「合計所得金額が1,805万円を超える場合」とは、所得が給与所得のみである居住者については、給与年収が2,000万円を超える場合が該当します。

 ただし、給与年収が2,000万円を超えている居住者でも、その居住者が「所得金額調整控除」の適用を受けられる場合には、所得税の定額減税を受けられる場合があります。

3.所得金額調整控除とは

 所得金額調整控除とは、所得税法上、その年中の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障害者に該当する人又は年齢23歳未満の扶養親族を有する人等に係る総所得金額を計算する場合には、その年中の給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、その年分の給与所得の金額から控除するというものです。

 したがって、今回のご相談の場合のように、給与年収が2,015万円の人が所得金額調整控除の対象となる場合には、その人の給与所得の金額は1,805万円となり(※2)、所得税の定額減税の適用を受けられることとなります。

※2 計算過程

  1. 給与年収が2,015万円である場合(給与年収が850万円を超える場合)の給与所得控除額:
    195万円
  2. 給与年収が2,015万円である場合の所得金額調整控除額:
    (1,000万円−850万円)×10%=15万円
  3. 給与年収が2,015万円である場合の、給与所得の金額:
    2,015万円−195万円−15万円=1,805万円

[参考]
所法2、28、改正措法41の3の3、41の3の11、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係【令和6年4月改訂版】)」など

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